甘い魔法②―先生とあたしの恋―
岡田が、持っていたファイルの山を瞬のデスクの上にどさっと置く。
それから市川を振り返って、市川からファイルを受け取った。
「あ、ありがと。っていうか、手伝ってくれてありがとね」
「いえいえ。俺、紳士なんで。女性が重たいモノ持って歩いてるのを見逃せませんから」
岡田ににこりと笑顔を向けられて、市川が小さく笑う。
「もしかして、市川さんの彼氏?」
そんな二人を見ていた瞬が、突拍子もなくそんな質問をする。
好奇心の渦巻く目を向ける瞬に、市川は表情を歪めて、岡田は照れたように笑った。
「えー、そんな風に見えますか? でも、俺年下だし……市川先輩、年下の男ってどう思い……」
「違います」
岡田の言葉を遮ってきっぱりと言い切った市川は、一度も俺の方を見なかった。
ただ、真っ直ぐに瞬を見ていて……その真剣な眼差しから、市川の気持ちが伝わってくるみたいだった。