甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「瞬、そんなの生徒に頼む事でもねぇだろ」

「別に校舎中案内しろって言ってるわけじゃないよ。北校舎にあるパソコン室に案内してもらいたいだけ。

なんかこのパソコンおかしくってさ、教頭に相談したらそこに余ってるのが置いてあるから交換してもらえって言われて」

「パソコン室なら二階の一番東の渡り廊下渡ってすぐ右。

迷う場所なんかねぇから一人で行けるだろ」


引かない瞬にそう言うと、それを聞いていた市川はクスクス笑って俺と瞬を見た。


「あたし、教室戻るしついでに案内しますよ」

「あ、ホント? ありがと。

……って事で俺達行くけど、ハル兄はどうする? ここで俺の事待っててもいいけど」


立ち上ると俺の身長を超す瞬に言われて、答えるより先にドアに向かって歩き出す。


「学習室戻る。俺だって暇じゃねぇし」


「そう?」なんて残念そうな声を出した瞬を後ろに感じながら保健室を出る。

廊下に出ると、岡田はすぐに「じゃあ俺はこれで」と2年の教室に戻っていった。


< 105 / 458 >

この作品をシェア

pagetop