甘い魔法②―先生とあたしの恋―
沈黙を不思議に思ってちらっと振り返ると、目を伏せて微笑む市川の姿が映った。
「……でも、大切にしたい悩み事もあるから。
どうしても、自分で向き合いたいんです。どんなに時間がかかっても」
一瞬ぶつかった視線。
強い意志を浮かべた市川の瞳に捕らえられた時。
突然、甲高い叫び声と鈍い音が階段に響いた。
それに続く、動揺した低い声―――……。
「先生っ、大丈夫ですか?!」
すぐそこで聞こえてくる声に、俺達は階段を駆け上がる。
二階に上がったところで階段を見上げると、二階と三階の間の踊り場に、古文教師の高遠の姿が見えた。
「高遠、どうかしたか?」
声をかけながら階段を上がると、そこには……。