甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「矢野、……ああ、坂口先生も一緒か。丁度よかった。
馬場先生が階段を踏み外して落ちたんだ」
踊り場まで上がると、床にうつ伏せになっていた馬場先生に気付く。
意識ははっきりしているみたいで、俺達の姿を確認するなりすぐに上半身を起こした。
「あ、すみませんっ。私、大丈夫ですから」
「馬場先生、そのままで」
慌てて立ち上がろうとする馬場先生を、瞬が止める。
そして、俺と高遠の間をすり抜けて馬場先生の隣にしゃがむ。
「何段目から落ちました? どこか打ちましたか? 頭だとか」
「……多分、半分くらいの場所からです。頭は、大丈夫です。手で支えたので。
ただ、足がちょっと……」
「どの辺ですか?」
馬場先生が指し示した場所に瞬が触れると、馬場先生はわずかに表情をしかめた。
それを見た瞬は、足首にそっと触れながら程度を診る。