甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「うん。高遠先生が病院に付き添って、結局捻挫だって。
高遠先生から先生に電話がきてた」
「なんだ、捻挫か。それぐらいで済んだならよかったよね」
パンを頬張る諒子に頷きながら、あたしもクリームパンを一口食べる。
それを時間をかけて飲み込んでから、ため息を伴う言葉を口にした。
「馬場先生は、やっぱり先生が好きなんだね……」
そう漏らすと、諒子は少し周りを気にしながら聞き返す。
「なんで? 何かあったの?」
「誰かが付き添うって事になった時、先生を見てたから。
……坂口先生が気付くくらい、見てた」
「……あの先生さ、もっと気持ちを隠す事を学んだ方がいいよね。
しかも振られてるようなもんなのに。
……で、それを目の当たりにして凹んでるの?」