甘い魔法②―先生とあたしの恋―


坂口先生との事を口にしようとしたんだけど……。

でも、その固有名詞を出すのは危ない気がしてそこで切る。


いくら「ハル」なんてあだ名で呼んでいたって、会話には自ずと馬場先生だったり坂口先生だったりが入り込んじゃうから、言葉選びが難しい。

諒子にそれを言ったら、坂口先生と馬場先生にも変なあだ名をつけるのかな……。


あたしがそんな事を考えて苦笑いを浮かべようとした時。

諒子が真面目な顔をして口を開いた。


「それって、実姫を守りたいからじゃない?」

「え、……でも、それにしても言い方があるよ。あんな言い方しなくたって……」

「言い方を選んでいられないほど余裕がないって事じゃなくて?」

「……」


諒子に言われてはっとした。

確かに……最近の先生からは余裕みたいなモノが感じられない。

今まではいつだってそれがあったのに……最近は―――……。


だけど、なんで……?

先生がそんなに追い詰められるような事が、最近にあった?



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