甘い魔法②―先生とあたしの恋―
この恋だけは
「おかえりなさい」
17時40分。
今日も早く帰ってきた先生が、頑丈になった鍵を開けて入ってくるのを、あたしは食堂で迎え入れた。
「……ただいま」
だけど、先生はあたしの姿を見るなり、少し怪訝そうな表情を浮かべる。
「おまえ、部屋にいろよ。こんなところに一人でいて何かあったら……」
「大丈夫だよ。……っていうか、本当に誰か入ってきて何かやらかすつもりだったら、ここにいたって部屋にいたって変わらないし」
先生の表情がまた少し険しくなったのを見て、言葉の選択を間違った事を知る。
今の発言は、ちょっとうかつだったかも……。
先生は後ろ手に鍵を掛けてから、階段を上り始める。
だけど、何段か上ったところであたしを振り返った。
「おまえも部屋にいろ。
本当に誰かが侵入しても、部屋ならもう一つ鍵がついてるし、その方が俺も安心できる」
「……先生、心配症すぎるよ」