甘い魔法②―先生とあたしの恋―
『欲求不満なんじゃない?』
こんなにドキドキしちゃうのは、絶対諒子のあの発言のせいだ、と思いながら座る。
あたしの部屋と同じ大きさのテーブルの前に座ると、先生がその斜め前に腰を下ろす。
ネクタイを緩めて袖を捲り上げる先生にドキっとしながら、あたしはテーブルの上に置いてある教材を見つめた。
話をするって言ったって、なんて切り出せばいいんだろ。
『何か不安に感じてない?』
『追い詰められてない?』
なんて、急に聞かれたって先生だって訳が分からないだろうし。
先生に思い当たる事があったとしても、そんな直接的過ぎる言葉を向けたら余計に追い詰めちゃう気がするし……。
じゃあ、なんて?
先生から送られてくる視線に気付きながらも、じっと教材を見つめたまま思考を巡らせる。
そして、諒子に言われた事を思い出す。
『実姫が意地ばっかり張って触らせないから、ちょっと不安になっちゃったんじゃないの?』
『言われなきゃ不安でしょ?』