甘い魔法②―先生とあたしの恋―
態度ですらそれを表せないあたしに、先生が不安になってもおかしくないような気になった。
言葉でも態度でも『好き』を伝えようとしないあたし。
いくら付き合ってるって言っても不安になるのは当たり前なのかもしれない。
不意に啓太との事が思い出されて……。
あの時の不安ばかり感じていた自分が、今の先生と重なる。
啓太が本当にあたしを好きかどうか分からなくて。
自分ばかりが好きみたいに思えて……いつもいつも不安だった。
啓太と違って、あたしは先生が本当に好きだけど……でも。
それを態度でも言葉でも表していないなら、同じなのかもしれない。
先生には、何も伝わってないって事なんだから。
「先生……そっち、行ってもいい?」
やっと出た言葉に、先生は不思議そうな表情を浮かべる。
そして眉を潜めた後、頷いてくれた。