甘い魔法②―先生とあたしの恋―
50メートル走、100メートル走、200メートル走。
長いのでは800メートル走なんてのもあるし。
あとは、障害物競走、借り物競争、借り人競争。
騎馬戦に二人三脚。
最後はクラス対抗の綱引き。
団長を立てての応援合戦も、盛り上がって楽しいし。
「監督って言っても、結局走り回る事になるんだけどな。
コース外を」
「そういえば去年の球技大会もドッチボールに借り出されてたよね」
「まぁ、生徒に怪我がなく終わればそれでいいけど」
「……それ、本心?」
先生が珍しく教師らしい事を言い出すから苦笑いして聞く。
だけど先生はあたしの疑問には答えずに、眉を潜めてあたしを見る。
「おまえ、顔色悪くねぇ?」
指摘された顔色。
その理由を説明するのは少し気まずくて、目を伏せながら答える。
「ちょっと……でも、毎月だし」
直接こそ言わなかったけど、先生はあたしが言いたい事が分かったみたいだった。