甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「……今日、見学とかできねぇの?
また前みたいに倒れたら大変だろ」
顔を歪ませた先生に言われて、安心させるために笑顔を作る。
「そこまでじゃないから大丈夫」
「でもおまえすぐ無理するし」
すぐに言い返されて、今度は本当に笑いながら答えた。
心配症の先生が、おかしくて……、嬉しくて。
「体育大会は一人二種目までしか出られないんだよ。
だから、あたしが抜けたらその分得点が稼げないし」
「……つぅか、生徒ってそんな必死にやってんのか?
優勝したって賞状出るだけだろ。あんなん簡単に印刷できるし」
「なんかやな大人がいる……」
不貞腐れながらも笑みを零すと、先生はまだしかめたままの表情でため息をつく。
あたしの態度に、見学って提案が無理だと諦めた様子だった。
「じゃあくれぐれも無理すんなよ」
「うん」
素直に頷くと、先生はまだ納得いってなさそうな表情を向けて……。
最後は呆れ笑いを落とした。