甘い魔法②―先生とあたしの恋―
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「実姫ーっ!! 見てたよっ! さっすが元バスケ部。
勝負は1位をとってこそだよねー」
200メートル走を終えて息を切らしているあたしの肩を、諒子がバシバシと叩く。
酸欠状態が手伝ってか、一気に襲ってきた貧血みたいな症状。
ふらふらと歩きながら、諒子に笑顔を向けるも……。
「あー……だめ。ちょっと座っていい?」
「なに、気分悪い? もー、だからあんな一生懸命走ってトップ取らなくてもよかったのにー。
ビリの6位だって、一応参加点は加算されるんだし」
「……一言前と言ってる事がまるっきり違うんだけど」
応援席までなんとか辿りついたあたしは、地面の上にゆっくりと腰を下ろす。
あがっていた息も落ち着いてきて、水分補給すると気分的には随分マシになったように感じた。
梅雨明けしたばかりだからか、気持ちのいい気温に暑すぎない太陽が、温かく校庭を包んでいた。
じっとしている分には、汗もでてこない。