甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「どうする? 保健室行くなら付き合うけど」
「んー……別に平気。あたし、もう出る種目終わったし。
諒子は次の借り物競争でしょ? もう召集始まってるんじゃないの?」
召集所に目を向けると、そこには『借り物競争』って書かれたプレートを持つ生徒の姿があった。
その様子に、諒子は気合いを入れなおしてあたしを振り向く。
「1位取って、6点加算させてこなくちゃ」
「うん。見てるから頑張ってね」
「指令の紙拾ったら大声で叫ぶから、実姫も協力してね」
「……手の届く範囲ならね」
諒子の後ろ姿を見送ってから、視線を校庭のトラックに戻した。
男子800メートル走が行われているトラックの中央には、6ヶ所に分かれて応援席が設けられてる。
1周200メートルのグランドを走って競っている男子の中に、和馬の姿を見つけてそれを目で追う。
見事1位を勝ち取った和馬の笑顔に、思わず笑みが浮かぶも……違うクラスだった事を思い出して、それを隠した。