甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「えー、行こうよ。保健室。

坂口先生に会いに行こうよ」

「あー……そういう事」

「だってかっこいいじゃん。矢野センもいいけどさー、なんか完全に生徒眼中ないの分かるし。

その点、坂口先生は可能性ありそうじゃない?」

「……そう?」


曖昧に笑ってから、スタートしたレースを目で追った。

どの程度本気の言葉なのか分からないし、答え方が難しい。


相手が坂口先生だからっていうのもあるのかもしれないけど。


坂口先生……、悪い人だとは思わないけど。

人当たりも悪くないし、賑やかで明るいし。

でも……なんとなく、一緒にいると落ち着かない。


先生と家族みたいなものだって分かってるからなのかな……。

一緒にいると少し緊張する。


思い出しても、笑顔しか浮かばない坂口先生。

いつも張り付いたような笑顔しか見せない事を少し疑問に思いながら、トラックを見ていると、ついに諒子の出場する借り物競走が始まった。


第三レースにエントリーした諒子が取った指令は……。



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