甘い魔法②―先生とあたしの恋―


呆れ顔の先生に言われた実況係りは、少し残念そうにレース実況に戻る。

そんな様子を見て先生同様に呆れ笑いしていると、すぐ近くで聞き覚えのある声が聞こえてきた。

落ち着いて聞こえるのに、なぜか緊張させる声が。


「やっぱりハル兄メロメロなんだ」


振り返ると、すぐ後ろにジャージに白衣を引っ掛けた坂口先生がいて。

それを見たクラスメートが話しかける。


「あ、坂口先生、ちょうどよかった! 実姫がね、生理痛と頭痛でつらそうだから保健室行こうとしてたんだー」

「そうなんだ。大丈夫? 市川さん」

「あ、はい」


頷いたのに、坂口先生は困り顔で微笑んで首を傾げる。


「そんな顔色で言われてもね。薬だけでも飲んだら? 別に体育大会に出るなとは言わないからさ」


「そうしなよー、実姫」なんていう声にも押されて、仕方なく頷いて、坂口先生と2人で保健室に向かう事になった。



< 150 / 458 >

この作品をシェア

pagetop