甘い魔法②―先生とあたしの恋―
線
「この頭痛薬、少し強めなんだけど大丈夫? 胃とか弱い?」
保健室で坂口先生が渡してくれたのは、見覚えのある薬だった。
いつも持ち歩いてる頭痛薬のうちの一つ。
「いえ。いつも飲んでる種類なんで大丈夫です」
「いつも? 頭痛持ちなの?」
「はい。最近は落ち着いてたんですけど……今日は久しぶりにひどくて」
「小さい頃からずっと?」
首を傾げて聞いてくる坂口先生の言葉が、保健医としてなのか興味でなのか分からない。
前、寮で話した時の事があるだけに家族の話題は抵抗があったけど……。
事実だし、別に隠す必要もないと思って答える。
「……中学2年まではなかったんですけど、家族で色々あってからはよく頭痛が起きるようになっちゃって」
「……そっか」
返事に迷いながら言うと、坂口先生は意外にもそれだけ呟いて黙った。
この前先生に言われたから何も言わないのかな。
生徒のプライベートに口出しするな、みたいな事言われてたし。