甘い魔法②―先生とあたしの恋―
付き合うようになって、先生と一緒にいられるようになって。
嬉しさがあたしを支配していたから、なかなか気付かなかったけど……。
気持ちが通じた今だって、先生はあたしに一線置いてる。
あたしに踏み込ませない場所を作ってる。
頷いたあたしを見て、坂口先生が笑顔を見せる。
「俺ね、ハル兄には幸せになって欲しいんだ。なんだかんだ言ってるけど、本当にそう思ってる。
彼女とどんな付き合い方してるんだか知らないけど……里子さんの言うようにいい子であって欲しいって思う。
じゃなきゃ……、」
そこまで言うと、坂口先生は苦笑いしてあたしを見た。
「ごめん。話しすぎちゃったね。
なーんか、ハル兄が市川さんと仲良しだから俺までそんな気になっちゃってさ。
いっつも話しすぎるなー。
あんまり話すとハル兄に怒られるのに……内緒にしてくれる?」
「はい」
子供みたいに笑うから、思わずあたしも笑って頷く。
それに安心したのか、坂口先生は微笑んで、白衣のポケットに突っ込んでた手をあたしに差し出した。