甘い魔法②―先生とあたしの恋―
進路
「ねー、この問題さー……」
「昨日の塾の資料コピーしてもらえる?」
夏休みが終わると、教室の中が急に受験モードに突入した。
うちの学校は商業科目もあって、2年に上がる時に商業科、普通科を選択できる。
それぞれ4クラスずつあって、商業科の生徒はその半分が就職で、残りの半分は大学なり短大なりに進んでいく。
「実姫はお父さんと話せた? 進路の事」
前の席に座る諒子に、参考書を片手に聞かれて頷く。
「うん。夏休みにね。けど、あたしの好きにすればいいって」
「なに、まだ放任な感じなの?」
諒子が驚いて聞いたのを、首を振って否定する。
「ううん。そういうんじゃなくて。自由にしていいよって事。
優しさで言ってくれたんだと思うけど……」
「進学で希望出してるんだよね?」