甘い魔法②―先生とあたしの恋―
懐かしい場所
【実姫SIDE】
「先生、下のは全部スイッチ入れたよ」
「二階も全部入れ終わった。
1分で煙が出てくるから早く脱出するぞ」
階段を下りてきた先生と合流して、寮から出る。
先生はドアから中を覗き込んで、セットした殺虫剤から煙がでたのを確認してから扉を閉めた。
寮の鍵を掛けたところで、2人して安堵のため息をつく。
「大丈夫かな……」
「大丈夫だろ。必要以上の殺虫剤仕掛けたんだし。
まぁ、2時間後戻ってきてからの掃除が怖いよな」
「2時間……じゃあ、どっかぶらぶらしてるかな」
このまま寮の前に先生といてもいいけど……土曜日でもグランドは部活に打ち込む生徒で溢れてるし。
万が一誰かに見つかっても面倒くさい。
多分、生徒の大半はあたしがこの寮に住んでる事を知らないし。
先生がここに住んでる事だって、それほど浸透してはいない。
それなら、今のままのが絶対いい。