甘い魔法②―先生とあたしの恋―
まんざらでもなくなってきている自分に気付いて、ハっとしてまた頭を振る。
今はそんな甘い考えに惑わされてる場合じゃないのに。
諒子のせいで、頭の中の栓が緩んだみたいにぽわぽわしてるし。
そんな頭じゃもう考え事なんか無理で、椅子に座ったまま天井を仰いだ。
「もー、諒子のせいで考えられなくなっちゃったじゃん」
「実姫はいっつも考えすぎなんだって。たまにはそういう事考えて頭の中に花咲かせとくのもいいと思うけどなー」
にこっと笑われて、そんな諒子を睨むわけにもいかずに呆れて笑った。
3年に上がってからずっと思い悩んでいた事が、一瞬頭から抜けていたけど……。
黒板の隅に書かれている日付を見て、この校舎で過ごす時間もあと半年なんだって再確認する。
その間にしなくちゃいけない事が、まず受験だって事は分かってるけど。
それでも、あたしの頭の中は先生の事でいっぱいだった。