甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「あ、俺、岡田です。岡田春一(はるいち)」
「ありがと。こないだもありがとね。
どうかしたの? 保健室に用事?」
「あー、はい。ちょっとサッカー部に混じって遊んでたら転んで。
でも坂口先生いないみたいなんで」
悪戯っ子みたいに笑う岡田くんの足元に視線を落とす。
捲くられたジャージ。
覗く膝からは、真新しい傷と流れる血が見えて、それは靴下まで汚していた。
見つめながら顔をしかめる。
「坂口先生いないからって、それほっとく気……?」
「ああ、大丈夫っすよ。洗っとけば」
「大丈夫って、全然大丈夫に見えないんだけど……。
消毒くらいなら出来るから、とりあえず入って? 多分絆創膏の位置も分かるから」
「あー、なんかすみません」