甘い魔法②―先生とあたしの恋―
下手に噂になって、男女2人で住んでることを問題視する声が上がったら……。
この寮での暮らしは、絶対に崩れる。
だって、普通に考えたら絶対おかしいもん。
教師と生徒の同居生活なんて。
うちのお父さんが急に無理矢理頼み込んだって理由があっても、おかしい。
それが分かってるから。
だから、少しでも先生と一緒にいられるように。
……って思うから我慢してるのに。
先生はあたしの言葉に明らかな不機嫌を示した。
「ぶらぶらって駅前をか?
土曜日の昼間なんかに1人で歩いてたら、絶対変な奴に声かけられるだろ」
「かけられないよ。あたしナンパされた事ないし」
「……」
「先生、なんでそんなに機嫌悪いの? 自分は昨日、どっかで誰かと飲んでたくせに」
こっそり不満に思っていた疑惑を呟くと、先生は眉を潜めてから呆れたように笑った。
「昌じぃと飲んでただけだよ」
「え、校長と?」