甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「岡田だっけ。手当て終わったんなら出てっていいよー」
「……いなかったくせにすぐ追い出すって、なんか感じ悪いっすー」
「だって俺これから仕事があるし、岡田騒がしそうだし、いられると邪魔だし」
「……ここきてまだ一言二言しかしゃべってないんですけど」
岡田くんは、苦笑いを浮かべながらも否定はしないで立ち上がる。
確かに賑やかな雰囲気を持つ岡田くん。
濁りのない明るい雰囲気は、親しみやすくもあるけど。
「市川先輩、コレ、ありがとうございました」
ドアのところで振り返った岡田くんに笑顔を返してから、出した消毒液を元の棚にしまう。
後片付けが終わって、あたしも部屋を出ようとしたところで、坂口先生に声を掛けられた。
「市川さんって、彼氏いるの?」
「え……?」
突拍子もない質問に、びっくりして振り返る。
椅子に座ったままの坂口先生は、微笑みを浮かべながらも、いつもとは少し違った雰囲気であたしを見ていた。
……まるで、観察するみたいに。
その目に動揺する気持ちを隠しながら、首を横に振った。