甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「あ、はい。あの一回だけなんで……多分悪戯じゃないかなって……」
悪戯として片付けるには、内容が確信をつきすぎてるけど。
軽く笑って答えると、坂口先生はにこっと笑ってからあたしを見つめる。
「……なんですか?」
「ハル兄さー、市川さんの事、気に入ってると思うよ」
「え……」
「だってさ、俺はいわば家族みたいなもんじゃん。
生徒と家族だったら家族のが大切じゃん。
ハル兄は、別に『生徒命!』って感じの熱血教師でもないしさ。でしょ?」
「……はい」
「なのに……こないだ寮に行った時、俺の事叱ってたでしょ?
いつもとは違う感じのトーンで、市川さんの事庇ってた。
って事は、俺よりも市川さんのが大切って事なんじゃないかなって」
一瞬、ギクッとした。
思ってた以上に先生を知ってる坂口先生。
その洞察力に、否定の言葉が出てこない。
だけど、それを否定した方が不自然に聞こえるのかもしれないし……。
一番自然な答えが何かを探していた時、坂口先生が笑みを零す。