甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「うん。だって、手のこんだお弁当とか持って、ハル兄の隣を占領してたし。
あの人の積極性はすごいよね。俺でも感心するよ。
まぁ、お弁当は本当においしかったけど」
『先生も食べてたの……?』
思わず零れそうになった言葉を呑み込む。
「あれ? 教師のプライベートって、あんまり生徒にバラしちゃまずいよね?」
散々言った後、不安そうに聞いてきた坂口先生。
首を傾げて苦笑いを浮かべると、坂口先生は少し考えた後、「ま、いっか」と明るい表情を取り戻した。
「馬場先生の気持ちは、生徒に周知されてるみたいだし。
今更バラされてまずいって感じでもないよね」
にこ、と笑いかけられて、なんとんか笑顔を返す。
日曜日、断れないからって食事会に行ってたのは知ってた。
けど……そこで馬場先生のお弁当を食べた事は聞いてない。
しかもずっと隣に座ってたなんて……、聞いてない。