甘い魔法②―先生とあたしの恋―
イライラしてきた頭の中。
それに気付いて、表情にまで出ないうちに保健室を出ようと、坂口先生に笑顔を向ける。
「あ、じゃああたし帰りますね。出席簿持ってきただけなんで」
「あ、うん。呼び止めちゃってごめんね。気をつけて」
笑顔を返した坂口先生に会釈をしてから、ドアをゆっくりと閉めた。
ピシャ、と乾いた音を立てて閉まったドアから歩いて遠ざかると、じょじょにもやもやした感情が頭を支配し出す。
お弁当……。
別に、職員同士の交流なら仕方ないとも思う。
けど、馬場先生は明らかに先生に好意があるし。
それを考えると、どうしても面白くなくて。
あたしは口を尖らせたまま教室へと向かった。
静まらない想いが、胸を不快に侵していって気持ちが悪い。