甘い魔法②―先生とあたしの恋―
覗き込んで先生の表情を見ようとすると、先生は伏せいてた視線を上げてあたしを見た。
その目は……、やっぱり怒ってる。
「……ごめんなさい」
もう一度謝っても返事は返ってこなくて、いい加減独り言も嫌になる。
一方通行な会話。
険悪な空気が心地悪くて、先生をじっと見つめて口を開いた。
「怒ってるなら謝るからっ! 軽率な行動取ったあたしが悪いって分かってるし。
だから……、返事くらいしてよ。
先生に無視されるの、悲しいし……寂しいよ」
イライラをぶつけてやろうとしたのに。
あたしの心は、どうやら怒りなんかよりも、寂しさを感じてたみたいで。
勢いよく話し出したのに、最後の方は聞き取るのがやっとなくらいの声量になってた。
気まずくて俯くと、先生は片眉を下げてバツの悪い表情をする。
「いや……、ごめん。
別にまだ十分早い時間だし、おまえがちゃんと気をつけてくれてんならそれでいいんだ。
……ごめんな? 市川」
「……」