甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「怒ってたのに、市川の顔見たらそんなのどっかいっちゃってさ。
それが気に入らなかったんだよ。
だから、態度だけでも怒ってようとして頑張ってたのに、誰かさんのらしくない発言で台無し」
先生は全部があたしのせいみたいに言う。
だけど、その裏に隠れてる先生の気持ちが溢れるほどに伝わってきたから、それ以上は何も言い返せなかった。
あたしのせいって言われたのに、まるで好きだって伝えられたみたいで、それが嬉しくて。
「ね、先生。これ、知ってる?」
嬉しさを誤魔化すように、買ってきたストラップを先生の目の前で揺らす。
先生は黄緑色の林檎うさぎをしばらく見つめて……、表情をしかめた。
「知らねぇけど、林檎?」
「え、どっちかって言えばうさぎだけど……っていうか、やっぱり知らないんだー」
「なんだよ、『やっぱり』って」
「帰り道の途中でね、先生が知ってるか知らないか諒子と話してたんだ。
2人とも知らないって意見で一致したけど」
「……それはつまり、ジェネレーションギャップ的な事が言いたいわけか?」