甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「あ、だめっ!」
苦笑いをする先生が、まだ目の前で揺れる林檎うさぎに手を伸ばすから、慌ててそれを手の中に隠した。
見られたくないのは、プレートの文字。
『守りたい恋』なんて、見せられない。
まるで意地悪したようになったあたしの態度に、先生は表情をしかめた。
「なんでダメなんだよ」
「見たいなら見ていいけど……。はい」
プレートの部分だけを握り締めて林檎うさぎを再び空中遊泳させる。
だけどまだ納得いかないみたいで、先生はまた不愉快そうに眉を潜めた。
「なんでそんな見せ方なんだよ。
手に持ってるとこ見られたらまずいって事だろ? 俺の悪口でも書いてあるとか?」
「違うよ。……ここを他人に触らせると不幸が訪れるって噂が……」
絶対に嘘だってバレると思ったのに、意外にも先生は笑い出す。