甘い魔法②―先生とあたしの恋―
【第四章】
充満する感情
【矢野SIDE】
『ハルくん、こないだはごめんなさい……』
いつの間にか入ってた、秋穂からの留守電。
10分前に掛かってきたらしい電話に気付いたのは、昼休みが半分ほど過ぎた頃だった。
『ハルくんの大切な人にいきなりあんな態度とって、悪かったって思ってる。
……でも、あたしが言った事が間違ってるとは思わない』
低かった声のトーンが、少し感情的になる。
どこから掛けているのか、電話の向こうはやけに静かで、秋穂の言葉だけを俺の耳に届けた。
『ハルくんは、自分が想ってる以上に相手に想い返してもらえなくちゃ、安心なんか出来ないよ。
確実に保障された愛情じゃなくちゃ、安心できない。
無償の愛で、絶対的に自分だけを想ってくれる人だって何度も確認して、それを自分で納得できない限り、ずっと不安なんだよ』
ケータイを持つ手に、力が入る。