甘い魔法②―先生とあたしの恋―
『あたしだったら、ハルくんと同じ立場でいられるもん。
ハルくんが必要とするくらいに、あたしだって必要に思える。
あたし……、あんな人には負けないから。
ハルくんを分かってあげられるのは、あたしだけだよ』
ぷつりと切れた音を響かせたケータイが、『再生を終わります』と機械音を鳴らす。
まるで心に響かない単音を聞きながらケータイを閉じて……、しばらくそれを眺めてた。
秋穂の言葉に、『違う』だとか、反論の言葉が浮かばない。
秋穂が言った事は全部……全部、あたっていた。
田宮から市川を守ろうとした時は、純粋に市川を傷つけたくなかったからだった。
上手くいってなかった父親との関係が改善した時だって。
市川が、家族の事で悩まずに済むって事で心の底から安心したのに。
……なのに。
秋穂や瞬の言葉から市川を庇ったのは―――……。
もちろん、市川に嫌な思いをさせたり、傷付いて欲しくないからっていう気持ちは、大前提としてある。
だけど。