甘い魔法②―先生とあたしの恋―
秋穂の言った通り、俺との別れを少しでも後押しするような事を避けたいっていう気持ちが……、確かにある。
俺との関係を面倒に思うような事が起きないように。
俺との関係のせいで、市川にデメリットな事がないように。
市川が、俺との別れを選ばないように―――……。
そんな気持ちが、常にどこかにある。
市川が俺を好きだって思ってくれてんのは分かってるのに。
市川が俺を裏切ったりしないって事だって、分かってるのに……。
市川の気持ちを知りながらも、そんな不安が頭の中に存在し続けるのは、俺が市川を信じてないから―――……?
あんなに必死になって俺に想いを伝えてくれる市川を、信じてないって事か?
気持ちを重くするだけだった、秋穂からの留守電。
もう一度ケータイを開いて、その言葉を消した。
だけど、胸をざわつかせる言葉はしっかりと記憶されていて、俺を解放してくれそうにはなかった。