甘い魔法②―先生とあたしの恋―
冷たくも感じる言葉を言ってまた一つため息をつくと、瞬は納得いかなげに口を尖らせる。
「そうだけどさー……ちょっとはどうにかしてやろうとか思わないの?
妹みたいなもんじゃん」
「俺は自分の事で精一杯だし」
瞬はまだ不貞腐れた顔をしてたけど、それも廊下を曲がるまでだった。
「あ、市川さんだ」
5時間目が始まる10分前。
生徒で溢れる昼休みの廊下で、視界の中に入り込んできた市川の姿。
その姿を見て、張り詰めていたモノが少し緩む。
後ろ姿を見ただけで和んでいく気持ちに、自分の気持ちの大きさを教えられたようで、笑みさえ零れそうになる。
「あれー、また一緒にいるんだ。あの2人」
「あの2人?」
「うん。市川さんの隣にいる男子、岡田っていうらしいんだけど、こないだも一緒にいたから」
「……へぇ」
もう一度市川に視線を向ければ、確かに市川の隣を歩く男子の姿が目に映る。