甘い魔法②―先生とあたしの恋―
到着メロディーを聞きながら電車を下りる。
特に大きくもない駅には、それほど人はいない。
改札を出てその理由が分かった。
駅ビルもないし、特に目立った建物もない。
あるのは小さな交番と、ファーストフード店。
それにいつくかの定食屋さんに駐輪場。
ガランとしている駅前は、とても静かで落ち着いた空気が流れていた。
寮を出た時からやけに静かな先生が気になって、隣にいる先生を見上げる。
先生は駅前のロータリーにある小さな噴水をぼんやりと眺めていて……。
でも、その視線はどこか遠くを見ているみたいだった。
なんとなく声をかけられないでいると、先生がゆっくりとあたしに視線を落とした。
そしてしばらく見つめた後、目を細めて笑う。
「似合ってんな、それ」
先生が言ったのは、キャップ。