甘い魔法②―先生とあたしの恋―
市川よりも少しだけ高い身長に、短髪頭。
クラスではいじられ役なのに、筋肉質でガタイがいいせいか、こうして見ると頼りがいのある背中に見える。
5時間目は移動教室なのか、市川は胸の前で教科書を持っていた。
たまに見える横顔は、少し戸惑っているように見える。
左隣にいる内田寄りに歩く市川。
そこに岡田への好意は感じられず、とりあえずほっとする。
「なんかさー、こないだ保健室ちょっと空けてたら、その間に怪我をした岡田が来たらしくてさ。
たまたま居合わせた市川さんが手当てしてくれてたんだけど……なんかこうして見るといい感じだよね。
爽やかカップル的な感じ。……でも、岡田はちょっと騒がしそうだけど」
「手当てねぇ……」
岡田はひっきりなしに市川に何かを話してるようだったけど、この距離じゃその内容までは分からない。
瞬に気付かれないように市川と岡田の姿を横目で追って……、目を伏せた。