甘い魔法②―先生とあたしの恋―
……それなのに、なんでこんな気持ちなるんだよ。
なんで、こんな―――……。
静かに湧き上がっていた感情の渦が、一気に勢いを増して俺を呑み込もうとする。
感情に囚われたまま、市川を捕まえて、瞬に言った事を訂正させたくなる。
まるで、俺っていう存在が市川の中に存在しないような答えを、訂正させたくなる。
否定された自分の存在。
それに過剰反応した感情の波が襲ってきて……。
込み上げるそれに自然と表情が歪む。
喉まで上がってきそうな感情をぐっと堪えていると、隣の瞬が不思議そうに覗き込んできた。
「ハル兄? なんか顔色悪いけど、体調悪い?」
心配そうな瞬に、なんとか微笑んで首を振る。