甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「今さら出てくんなよ……」
俺の事を捨てたくせに。
いらない存在だって、自分の中から俺の存在を消したくせに。
“実の母親にさえ消された存在”
そんなレッテルが心のどこかに張り付いたまま剥がせなくて、俺ん中をどす黒い感情で覆っていく。
それはどんどんでかくなっていって、留まる事を知らずに、俺の中に充満していって……。
代わりに、市川に対して許せる事が減っていく。
想いのでかさと比例するように。
想えば想うほど……、苦しさが増していく。