甘い魔法②―先生とあたしの恋―
馬場先生が何を言おうとしているのかが分かって、わざと冷たく突き放した。
下手に告白されて断るよりも、鈍感で無神経だって思われたほうがよっぽどいい。
この後の関係だって、その方がうまくいく。
そう思って突き放した俺に、馬場先生はショックを受けた顔を向けた。
明らかに落ち込んでいる表情を見ると小さな罪悪感は湧いたけど……。
だけど、それ以上に今の馬場先生の行動に苛立ちを感じていた。
いくら授業中の誰もいない廊下でも、校内でする会話じゃない。
誰かに聞かれていたら、それこそ噂話じゃすまないのに。
校内ではいじらしいほどに感情を見せない市川を知ってるだけに、今の馬場先生の行動が気に障って仕方なかった。
「あの……つまり、私もありえないって事ですよね?」
「……」
せっかく濁したのに、まだ蒸し返す馬場先生。
バレないようにため息をついてから目を合わせた。