甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「……馬場先生」
「は、はい……」
「ここは学校ですし、こんな場所でこんな会話するのは間違ってると思ったので、ハッキリ言いたくはないんですが。
俺には彼女がいますし、馬場先生とどうこうなるつもりはまったくありません」
「……」
「もし、今までの俺の態度が誤解を与えてしまったなら申し訳ないです。
一同僚としてしか接していないつもりだったんですが……期待させてしまったならすみません」
軽く頭を下げてから、何も言わない馬場先生に背中を向けた。
自分自身の態度が冷酷なモノだって事は頭で理解できた。
『でも、これからも同僚として仲良くしてくださると助かります』って、一言添えれば、馬場先生も少しは救われるのかもしれない。
『気持ちは嬉しかったです』って笑ってみせれば……。
だけど……正直、今の俺にはそこまで気を回せる余裕はなかった。