甘い魔法②―先生とあたしの恋―
馬場先生が傷付いたかどうかだとか。
そんなの、はっきり言ってどうでもいいとすら思うし、考える必要性すら見つけられない。
自分と市川以外、どうでもいいなんて考えが浮かんできて、続く廊下を睨むように顔をしかめた。
余裕がなくなってる。
最近、それをよく感じる。
自分の性格を分かってるからこそ、意識して保ってきた余裕と冷静さ。
常に夢中にならないように、どこかでセーブしてたのに。
それが……壊れかけてる。
母親から否定された自分が、再び市川によって否定される事が、怖くて仕方ない。
だけど、それは俺の問題なのに……。
そんな恐怖は、形を変えて市川への束縛になって。
エンドレスに続きそうな濁りきっている感情が、俺を解放しない。