甘い魔法②―先生とあたしの恋―
視線を伏せたまま廊下を曲がると、一人の教師の姿に気付いた。
廊下の窓からグランドを眺めているのは……。
「高遠」
「ああ、矢野。空き時間?」
「ああ。こないだは悪かったな。馬場先生の付き添い」
「別にアレは矢野のせいじゃないだろ。
……まぁ、馬場先生は矢野についてきて欲しそうだったけどな」
どうせ気付かれてるとは思ってたけど、高遠にもやっぱり知られていた馬場先生の気持ち。
特に言葉を返さなかった。
好かれる事に嫌な気持ちを持つのも可笑しな話かもしれないけど……。
正直、今の俺の状況では悩みの種としか考えられない。
「高遠先生は、こんなとこから何見てるんですか?」
わざと敬語を使ってからかうと、高遠の眉がぴくりと動く。
冷静沈着を保ちながらも意外と分かりやすい高遠は、同僚でもあり……同士でもある。
……つまり。