甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「……先生ほどじゃないけどね。
キャップかぶってるといつもより若く……子供っぽく見えるね、先生」
「今なんで言い直したんだよ。若く見える、でいいだろ」
頭を軽く小突く先生に、少しだけ胸を撫で下ろす。
この街は、確かに先生が育った場所だけど……。
捨てられた場所でもあるから。
先生が何を感じているのか、嫌な思いをしていないか、気になって仕方ない。
やっぱりここにくるのは断った方がよかったかな……。
「さて。どうするか」
先生が呟くように言った言葉に、あたしはその横顔を見ていた。
言葉よりも、その奥で先生が感じている事を見つけようとして。
そんなあたしを、先生が見下ろす。
「市川の事、彼女だって紹介しても問題ないと思う?」
「えっ?」