甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「ああ、体育か。高遠の“愛しの君”は」

「……本当に矢野は意地が悪いな。

言いようがあるだろ」


見つめている先にいる生徒を指して言うと、高遠は苦笑いを浮かべて視線を伏せる。


高遠の視線の先にいる小林っていう女子生徒は、澤田や岡田と同じクラスの生徒。

……いつも真っ直ぐに高遠を見つめている生徒。


小林のあまりの純粋さと粘り強さに負けた高遠。

付き合い始めて、3ヶ月が経とうとしていた。


「ストレートなだけだろ?

……高遠の言い方じゃ、回りくどすぎて伝わらねぇよ」


俺から見ても堅物の高遠が告白に応えたって事は、高遠だって小林を想ってるって事。

いくら押されても粘られても、好きじゃなかったらこいつは絶対に応えたりしない。


だけど、高遠は小林の気持ちに応えた事を、ずっと後悔してる。





< 210 / 458 >

この作品をシェア

pagetop