甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「高遠のしてる事、俺にはできねぇよ。
俺はやっぱり、好きな奴が目の前にいたら離したくなんかないし……離せない。絶対に」
『絶対に』
それは、おおげさでもなんでもなく。
例え、市川が別れを望んだとしても、俺はきっと……前みたいに頷いてやれない。
一度別れを知ってしまったからこそ、今度はできない。
どうかしてる自分の感情。
渦巻き続ける気持ちは、確実に俺を内側から破壊していく。
それがそのうち市川に矛先を向ける気がして、思わず眉をしかめた。
「矢野?」
「大したもんだよ、おまえは……」
小林の未来を心配するほど、小林が大事なくせに。
そのために、自分から身を引けるなんて。
別れを、仕向ける事ができるなんて……。