甘い魔法②―先生とあたしの恋―


澤田は、小林が唯一、高遠との事を相談してる相手。

その相談を受けながらも、小林が好きだから見守るって決めた澤田。


呆れるほど小林を真っ直ぐに想ってるくせに、小林のためにその想いを自分の心に留めて、ただ相談相手として小林の傍にいる澤田。


きっと今の高遠とのやり取りを聞いていた澤田に……、授業に出ろなんて言う気にはなれない。

いつも明るい澤田が抱えてる想いは、一度の授業をサボったくらいじゃ収まらない。


澤田と目が合って、俺はわずかに微笑んで見せてから背中を向けた。



高遠の想いに、澤田の想い。

ふたつとも強くてキレイな感情。


俺の市川への気持ちだって、そうなのに……。

強さでもなんでも負ける気なんかしねぇのに。


抱え込んでる黒い感情の渦が、透明なそれを汚していく。


< 214 / 458 >

この作品をシェア

pagetop