甘い魔法②―先生とあたしの恋―
分かってる。
それでも、先生はあたしを想ってくれてるって事は……分かってるのに。
先生が表情を落ち込ませる度に、どうしていいのか分からなくなる。
あたしなんかじゃ、力不足なのかも……って。
「……先生?」
呼ぶと、先生は視線をあたしに向けた。
怒ってはいないみたいだけど、やっぱりどこか落ち込んでいるような、不安を感じているようなそんな瞳を。
『先生、何が不安なの?』
つい出そうになる疑問。
だけど、それを聞いても、先生はきっとはぐらかすから。
あたしは、探って探って、先生の不安を見つける事しか出来ない。
先生の奥深くにある不安を。
「岡田くんの手当してたのは本当に数分だけで、保健室でふたりきりになったのも5分くらいだよ。
すぐに坂口先生が入ってきたから」
「……なんでそんな事言い出すんだよ」
「先生がまたつまらないやきもち焼いてるみたいだったから」