甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「生徒だって事隠して……大学生だって嘘つけば問題ねぇかなって。
おまえ一人でうろつかせるのが嫌で連れてきたけど、ただの生徒連れて行くのもおかしいだろ。
今から行く所は俺の実家みたいなもんだし」
「……実家」
言われてみれば確かに。
学校側にバレた時はボランティアがどうのって説明するにしても、施設の人には何て言えば一番自然なんだろ……。
「えーっと……本当にボランティアに興味がある生徒とか?」
「夕方まで働く気か? 今日に限らずまた呼び出されたりしても困るだろ」
「生き別れになってた設定の妹とか……それか遊びにきてる親戚とか」
「いや、まずいだろ」
「なんで? 年齢的には一番納得いかない?」
それ以上の案なんて思いつかなそうだし。
先生は少しの間考えてたけど、眉を潜めてあたしの案を却下する。
「そうかもしれねぇけど、あとで紹介しにきた時、訂正すんのが面倒だろ」
「あと?」
「……市川が俺の注意を聞かないで部屋を散らかしたのが原因で、またゴキブリが出た時とか」
「ちゃんとキレイにしてるじゃんっ! それに、あたしの部屋に入る度に先生が神経質に掃除してるし」
口を尖らせて不貞腐れると、先生はあたしの頭をキャップの上から軽く叩く。