甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「ねぇ、先生。

名前、変えたりしないの?」


食後、テレビを見ている先生に聞くと、不思議そうな瞳があたしを捉えた。


「名前変えるって、どういう意味?」

「今、プチ改名みたいのだったら法律とか関係なく出来るってこないだテレビでやってたから。

漢字にしないのかなって思っただけ」

「漢字か。……なんか今さらそれもなぁ。

今はわざとカタカナで名前付ける親もいるし、そんなに気になんねぇかな」

「そっか。それならいいんだけど」


名前が原因で過去のつらい経験を思い出したりすると嫌かな、と思って言ったけど。

先生はあまり気にしていないみたいだった。


言い出したあたしも、『矢野ハルキ』の名前に慣れちゃったし、今さら漢字をつけてもピンとこないし。


「でも、市川がつけたいならつけてもいいけど。漢字」



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