甘い魔法②―先生とあたしの恋―
終わったと思ってた話題を戻されて、びっくりして先生を見る。
先生は少し微笑んであたしを見てるけど……。
今言った言葉は、結構な重大発言だと思うんだけど。
「あたしがつけていいって……そんな簡単につけちゃまずいよ」
「プチ改名だろ? 別に戸籍から変えるわけでもねぇし。
まぁ、漢字なら戸籍変えてもいいけどな。
結構時間かかるんだよなー。アレ。家庭裁判所とかで質問とか受けなくちゃだし」
「……調べた事あるんだ」
調べたって事は、やっぱり気にしてたんだ。
少しトーンを下げると、先生は気まずそうに視線をテレビに移す。
「就職ん時な。色々不利かなって思って。
名前なんかに負い目を感じたくもなかったし。
ほら、年寄りには評判悪そうだろ。俺の年代だとカタカナの名前ってそうそういねぇし。
別に深い意味はねぇよ」
「あたしは、『矢野ハルキ』って名前……好きだけど」