甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「ハルくんと別れろって事?」
「……うん」
「だけど、実姫とハルくんが別れたところでコイツに何のメリットがあるの?
あー……もう、貸して! あたしが返信するっ!
『あんた誰?!』って」
「あっ、ちょっと……っ、待って、諒子っ!」
危うく奪われそうになったケータイを死守して止めると、諒子は納得いかなそうに口を尖らせる。
「なんで? だって、こんなの、やり方汚すぎるよ。
実姫達に別れて欲しいにしても、陰湿じゃん」
「そうかもしれないけど……。
でも、向こうがハッキリ言ってこない限り、あたしもハッキリした答えを出さなくていいって事だから……。
犯人の目的に気付かない振りして、ハルの傍にいられるから」
もしも。
『別れなきゃバラす』
そんなメールが来たら、今の状況は少なからず壊れる。